レコーディングスタジオでレコーディングするというのは現状の私には無謀な事のように思えるほど、一つ一つが大変な事の連続だった。
ギターは人に任せても良い、サポート楽器を入れよう、なんならギターも弾いてもらおう、打ち込みじゃなく生演奏で音鳴りの良いスタジオで録ろう、その程度で、何か楽曲が凄く良くなると思っていた。
私のアレンジを基本に、リハーサルを重ねて、それぞれ意見を出し合い良いアイデアがあれば取り入れ、構築していけば良いなど。
友達の極端に少ない私が、知り合いで音楽的にも安心して任せれるギタリストやベーシストに頼むのは気が引けた。
没頭すると熱が入り、単刀直入で乱暴で相手の立場も何処へやらハッキリとものを言ってしまうので、和気藹々楽しくやるという風にはいかない。そこで割り切ってスタジオミュージシャンにお願いするのが良いと思われた。
そして私はそういった事をコーディネートしてくれそうな知り合いに久しぶりに会う約束をつけて相談した。
彼は面白そうだと乗ってくれ、すぐさまスタジオを抑え、ミュージシャンを手配してくれた。またエンジニアでもありミックスとマスタリングは彼がやってくれる手筈になった。
しかしお互いをまだ良く知らない私たちは、ちょっとしたメッセージのやり取りの中で、言葉の履き違いが原因で衝突し思い留まったが再び意見の相違で二度目の衝突があり、彼は降りる事となり私も止めなかった。
私はこの時は一人でもやってやると息巻いていたが、これが無知の極みだった。アレンジャーやディレクターも不在、譜面は起こせない、楽曲の完成イメージは決まってない、あやふやなイメージを言語化できない、もう何もかもがお手上げである。ところが私は突っ走ってしまう。続く。