暖まる手のひら

yo-en2015-01-31

今日はとっても寒い一日で、大阪は乾燥した冷たい空っ風が肌を突き刺すようでした。
私は手袋をした両手もポケットに突っ込み、寒さに堪えていましたが、すぐ横を子供達が自転車でビューンと風を切って通りすぎてゆき、(冷え〜ん)と驚いて吸い込んだ空気は、一瞬でからだを冷やし、慌てて身震いする程でした。

私も子供の頃は寒さ知らずで、公園や河原で暗くなるまで遊んでいたのですが、風邪をひきやすい弱体だったので、父がよく心配し、他のお友達と比べると厚着をさせられました。

『風邪というのは、首という部位から入ってくるから、ここを開けるな!』
というのが父の決まり文句で、上はとっくりのセーターとズボンが定番、パッチも履かされました。
今でも覚えているのが、小学三年、授業で体育服に着替える時に、パッチを履いてるのを見つかり、男子にも笑われて恥ずかしかったことです。私が履かないと母が父に怒られるので、それ以来、学校に着くとトイレで脱いでいたのです。暫くはそうしていたのですが、その内に何も言わなくなり履かなくなりました。

それから冬はアイスクリーム禁止でした。でもやっぱり食べたくて、隠れて食べていました。ある時、家に着くまでと、公園の帰り道にこっそり買って食べていたら、屋上から見ていた父に見つかり、『俺の目は節穴じゃないぞ!悪いことしたら直ぐ見つかるからな!』と半分も食べていないアイスクリームを取り上げ、ドブに捨てられてしまいました。
あの時は(もったいないことして!くそ親父!)と本気で思ったのでした。

このエピソードは寒いと蘇る幼少時期の思い出ですが、一番は次に語る思い出です。

冬にはいつも霜焼けをつくり、腫れ上がり痒い痒いとなる私と弟の手。
父は、とっちんちん(熱い)のお湯をはった洗面器の中に私の手を浸からせ、湯の中で10分程揉みほぐしてくれ(浸かり始めはすごく痛い)、ほっかほかに温たたまり真っ赤になった紅葉のような手に、ニベアクリームを丹念に擦り込んでくれるのです。
次の朝には、姉弟の手は、すべすべに綺麗に治っているのです。

そんな父の手が、あんなに大きかった手が指が、小さく細くなっているのを、遠い冬空の下で、愛おしく感じて指先が熱くなるのを感じたのです。