横尾忠則のセール品

yo-en2018-09-28

先日、神戸の王子動物園の近くにある横尾忠則近代美術館へ行ってきた。
「在庫一掃大放出展」とタイトルを挙げ、今まで日の目を見なかった作品群を展示している。
横尾さん自身は、ゴミ溜め展みたいだと自虐的にいっておられるが、1980年代の作品は特に自分の作風をどうするか悩み迷って色々と実験的に試作しているのが伺える。
それらには(もがき)という美しい青春を感じる。評論家から心無い酷評も受けても、自分の道を一心に探す。しかも決して頑なでなく柔軟に。
画家自身のユーモア、ゆとりさが、いい具合に作品に溶け込んでゆくために、必要不可欠な横尾さんの1980年代。
自分に照らし合わせて思えば、単純な憧れで弾き語りをしてみたいと、縁も所縁もない未知の世界へひとり飛び込んで11年。
私の弾き語りは古びた昭和のジュークボックスのアナログレコードの曲のようなのかしら、新しさも若さもないのよと、打ちひしがれればまた立ち上がり、シンガーソングライターでもオリジナル曲だけが自分の表現世界じゃないわと強固な呪縛が溶けてようやくこの地点。
巨匠も然り、迷って当たり前なのだ。
それを「決める」のは早まらず誤らず、もっと言えば意識せず「自然に任せる」と言い聞かせるこの頃である。