誰も悪く無い

今月初旬に喉が腫れ声が枯れ、そして熱を出した。
ここのところ年3回くらいは、39度前後(最高40.2度)の高熱が2日程続く、熱は解熱剤は飲まずに細菌もしくはウイルスと戦い、その後、気管支炎を併発する。熱と気管支炎はセットみたいだ。
ライブがあれば、気管支炎も悠長に自然治癒を待っていられないので、家のすぐ近くの診療所に行くのだが、いつも診察はおざなりな感じがぬぐいきれない。それでも市販薬よりか良い薬が欲しいと期待して行くのだが、どうも処方してもらった抗生剤はすっきり治らない。
それでやはり、専門の先生に診てもらおうと大きな病院の呼吸器内科を紹介してもらう。
そこの病院では、担当者から経過等を聞かれ、その場で、診察前に受けるべく検査項目を示された。尿検査、血液検査、肺活量検査は2種、そして胸部レントゲンがあった。
なんでも直ぐにレントゲンというやり方に不信感を持っている私は(呼吸器系の検査にレントゲンは必要な場合もあるだろうが、診察も無くいきなりレントゲン検査に拒否反応がっ)、(しかも、担当医師でもないのに検査を指示するのかという不信感がっ)、
『それならレントゲンだけは、診察と他の検査結果で判断してもらって、どうしても必要なら受けます』と、言ってみた。
私の提言に少し動揺を見せた担当者は『どうしてレントゲンを拒否するのですか?』と聞くので、問題ない被曝量事態、どこにも保証されていない事だから、不要な被曝は避けたいと言った。反対に私が『どうしてレントゲンが診察前に必要ですか?』と聞くと、肺炎や肺がんの可能性を見ると言うので、『それは、血液や尿や肺活量の検査等の結果でわかりませんか?』と聞くと、なにやら的を得ない説得をしだしたが、本来争うことが嫌いな私は、少し面倒になり、空気に負かされやむなく承諾した。
しかし解せない気持ちのまま、検査待ちのベンチで客観的に自問自答しているうち、
(流れ作業、業務短縮?この段階で胸部レントゲンはリスクの方が大きいのでは)....
(なぜ、担当医に聞きに行かず検査を受けるよう指示するのか、自分の業務遂行の為、私の意見を無視?)と怒りさえ込み上げてきた。
怒りは絶大なパワーなのだ!
私は、レントゲン室を素通りして、受付でやはりレントゲン検査をしてこなかったと言うと、先ほどの担当者が来て、やがて担当医に伝えることになった。

そのままレントゲンはしなくて済んだが、扱いにくい患者とレッテル貼られてしまっただろう。
だがそれも仕方ない。誰も悪くない。自分の意見を述べて、医者任せにしたくないだけ。自分の体じゃないか。


様々な情報はネットで真偽入り乱れ氾濫している。情報は多方面から考え、極端に走らず柔軟に考え、思い込まず、人はすぐ影響されるが、北寄りになれば南にむかい、心身常に真ん中にバランスよく生きたい。情報の起因を考え、操れず、操られれば、弱さを認め、涙を流して独り我が道を行く。疑問を持って。

その他の検査結果は全て正常範囲で、肺炎や肺気腫の疑いは無いと診断された。
担当医は優しそうな目元だった。それを裏打ちするように、患者の話を急かすような対応もなく、説明もはぐらかさず、専門用語を多用せずわかり易く、こんなに気分の落ち着いた診察は何年振りかと、診断も安心して聞いていた。

長年地方に住んでいた頃は、地元の評判の医者は教えてもらえるし、歯医者や耳鼻科、眼科以外は、市立病院で不審などなく通ったものだ。病院も多いし患者も多いこの大都市大阪で根付かず転々としていると、どうしても病院や医者不審になってくる。病院に限らずだが、人の足元を見た卑しい対応を何度か経験すると、こちらの心も硬くなるのだ。
そういうわけで、医者選びはいつも自分でネットであちこち調べることになる。ネットだけの情報じゃ物足りないが、致し方ない。口コミだけでは信じない、自分の経験と感だけ。今回もこの先生に担当してもらいたくて、紹介状を書いてもらっていた。

『少し膀胱炎の反応が出ているが(自覚症状なし)、薬を出すほどでも無く、今でも体温は37.2度あるが、今後も体温が上がるのならば、その原因を考えて検査したらいいんじゃ無いですか?』と担当医。


『したらいいんじゃ無いですか?』という言葉の端に、一瞬トゲを感じた私は、すぐに気のせいだと振り払いつつも、少し担当医の言葉が遠くなりかけていたら、
『この診察室は重篤な患者しか来ませんので』と追い討ちのような。
レントゲンを拒否したという後ろめたさがあるのか、私クラクラ、嫌味に聞こえる。
だがそれも仕方ない。誰も悪くない。システムが悪いのだから。