涙涸れ果てるまで・・・
今朝10時に夫の母から電話。
『アニーが・・・もうだめかもしれん・・・。』
直ぐに娘とふたりかけつけた。夫にも電話を入れた。
アニーの息は荒く、目、頬、喉の筋肉は垂れ下がり、肛門から臓の解けたような分泌物を出し、喘ぐ口から異様な匂いがしている。手や足はすでに冷たく、仰向けに横たわっていた。
アニーは立ち上がろうともがくが、後ろ足に力が入らず、そのまま申し訳なさそうに私を見た。
そしてできる限り頭を上げ、私、娘と交互に交互に見上げる。まるで自分の死を悟ったように最後のお別れをしているようだった。
家族は皆急用ができ、昼から夕方まで私が傍で見ることに。アニーは時に立ち上がろうと必死になった。いつも義父の後ろをついて歩いていたので、見えない義父を探していたのかも。
アニーの表情はますます虚ろに。
痙攣がはじまった!
『アニー、もうすぐだから、もうすぐ楽になるからねっ』
長い長い15分・・・・・。痙攣は静かになり、アニーの息は浅く次第にゆっくりになり、最後『ググッ、ググー』となり、そして私の腕の中で息絶えた。
2月11日午後3時10分 田村アニーちゃん、永眠。
私はひとり『アニー!アニー!!』と何度も呼びかけながら、アニーの匂いの染み付いたクタクタの革の首輪を外し、用意しておいたダンボールに入れた。
安らかな顔。とっても可愛い。なぜかアニーの目がかすかに動いている。右目も左目も・・・・。エッ?すかさずアニーの顔を両手で持ち上げるが、ひんやり冷たい舌がダラリと出ている。
『なんや、アニーの舌は冷たいなぁ・・・、こんな冷たい舌になって・・・。』
家。首輪を握り絞めてアニーの思い出に浸る。泣いたり、笑ったり・・・・。もうやめよう思うが、どうしても首輪の匂いを嗅ぎたくなり鼻に擦りつける。その首輪に挟まったアニーの毛を見て、私はまた泣いた。